
コラム
査定したら「セットバックが必要です」と言われた…売れないの?
「査定をお願いしたら、“この土地はセットバックが必要ですね”と言われてしまった」
そう聞いて、思わず戸惑った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「セットバック」なんて普段の生活では聞き慣れない言葉ですが、不動産売却においては非常に重要な要素のひとつです。
今回は、セットバックとは何か、なぜ必要になるのか、そして売却にどんな影響があるのかを、わかりやすく解説します。
📘 そもそも「セットバック」とは?
セットバックとは、道路が法律で定める幅に満たない場合に、敷地の一部を後退させることをいいます。
建築基準法では、原則として道路の幅は4メートル以上必要とされています(建築基準法第42条)。
もし前面道路が4メートル未満であれば、道路の中心線から2メートルの位置まで敷地を下げて建物を建てる必要があります。
この後退分を「セットバック部分」と呼び、将来的に“道路として扱われる”扱いになります。
🛣 なぜセットバックが必要になるのか?
かつては幅員が狭い道路でも建築が認められていた時代がありました。
しかし、現代では防災や通行の安全面から、4m未満の道路は建築上の支障とされます。
そのため、建物を建て替える際には、敷地の一部を“道路のために提供”しなければならない=セットバックというわけです。
📉 査定にどう影響するの?
セットバックが必要な土地には、以下のような影響があります:
- 建築可能な面積が実質的に小さくなる
- 容積率・建ぺい率の制限により、建物が小さくなる
- 後退部分は建物を建てられない=土地の価値が下がる
- 将来的に建て替え時の費用や制限が増える
このような理由から、同じ広さの土地でも「セットバック必要」と言われると、査定額は下がる傾向にあります。
💡 それでも売れる物件にする工夫は?
セットバックがあるからといって、売却ができないわけではありません。
以下のような工夫で、買主の不安を和らげることができます。
✅ セットバック部分を明確に図面・写真で説明する
→「ここからここまでが後退対象部分です」と可視化することが信頼感に繋がります。
✅ 現況のままでも使用可能であることを伝える
→ すぐに建て替える予定がない買主であれば、現状利用で問題ない場合も多いです。
✅ 地積更正登記や道路後退済みの場合は明記する
→ 「既に役所と協議済」「測量図あり」などは購入判断に大きな影響を与えます。
👀 買主はどんなところを気にしている?
セットバックが必要な土地は、購入時に以下のような点を気にされがちです。
- 実際に使える敷地がどれだけ減るか
- 隣地との境界はどこになるのか
- すでに近隣でセットバックされているか(自分だけ損しないか)
- 建て替え時に何の手続きが必要か(費用・期間)
つまり、「セットバックがあります」と伝えるだけではなく、“その先の見通しまで説明できるか”が大切になります。
✅ まとめ:「セットバックあり=売れない」ではない
査定時に「セットバックが必要」と言われても、それは“建築ルールの整理”であって、売却不可という話ではありません。
重要なのは、
- どの程度の後退が必要なのか
- 建て替えにどんな影響があるのか
- 現況の使用に支障があるのかどうか
を明確にしたうえで、買主に安心してもらえる情報をセットにすることです。
「セットバックって言われたけどよくわからない」
「買主にどう説明したらいいの?」
そんなときは、私たちにご相談ください。
当社では、建築制限や道路事情をふまえた販売戦略をご提案しています。
査定時に気づいた“小さな引っかかり”を、しっかり解決に変えていきましょう。