コラム

2025.06.16 売却

査定をしたら「私道の持分がありません」と言われた…売却できるの?

「査定をお願いしたら、“この物件、前面道路が私道で、持分がありませんね”と言われた」
そんなご相談をいただくことがあります。

突然“持分がない”と言われても、「それってどういうこと?」「売れないの?」と戸惑ってしまいますよね。

結論から言えば、私道の持分がなくても売却は可能です。
ただし、事前に確認しておくべきことや、売却時の注意点は確かに存在します。

今回は、“私道の持分がない”と言われたときの考え方と、売却戦略の立て方をわかりやすく解説します。


🔍 そもそも「私道の持分がない」とは?

物件の前面道路が私道(個人または一部の所有者の共有)である場合、
その道路を通行したり、建築確認を受けるためには「持分(=法的な通行権・利用権)」が必要
とされます。

持分が「ある」とは、その道路の土地に対して共有名義で一部権利を保有しているという意味。
一方で「ない」とは、その道を“使わせてもらっている”状態で、法的には第三者の土地を無許可で通っている構造ということになります。


🚧 なぜ査定に影響するのか?

私道の持分がない物件には、次のような懸念があると判断されるためです。

  • 将来的に通行や工事を拒否されるリスクがある
  • 建築確認が下りない可能性がある(=再建築不可)
  • 金融機関が住宅ローンを敬遠する
  • 法務上の不安を感じた買主が購入をためらう

このように、法的・心理的な不安材料となるため、査定額が抑えられたり、「売却しづらい」と判断されることがあるのです。


📘 ただし「持分がない=絶対にダメ」ではない

以下のような事情があれば、問題なく売却できたケースも多くあります。

✅ 他の所有者から通行承諾書がもらえる

→ 将来的な建て替えも含め、一定の安全性を確保できます。

✅ 長年通行実態があり、黙認されている状態

→ 道路状況や周辺関係により、「黙示の通行権」が成立していると判断されることもあります。

✅ 接道義務の確認済(建築基準法上の42条2項道路など)

→ 建築基準法上の道路にあたるかどうかを役所で調査することが大切です。


🛠 売却するための現実的な対策

  1. 市役所で接道状況を確認する
     法務局の地図や建築課で「建築基準法上の道路か」「再建築に問題ないか」を確認しましょう。
  2. 持分がないことを前提に、通行承諾を取り付ける
     私道の所有者が明確であれば、将来的な建築や通行についての承諾を文書でもらえると安心です。
  3. 購入検討者にはリスクと対応策を明示する
     トラブルになりやすい要素だからこそ、誠実な説明が大切です。

📉 査定額が下がることはあるが、工夫で取り戻せる可能性も

確かに「私道の持分がない」という点で査定額が低めになることはあります。
ただし、周辺環境や建物の状態、代替手段の有無によっては、価格以上の魅力を打ち出して売却できるケースもあります。

大切なのは、「買主がどこに不安を感じるか」を想定し、事前にその不安を解消しておくことです。


✅ まとめ:問題は「持分の有無」よりも「対応の仕方」

私道の持分がないからといって、すぐに「売れない」「価値がない」と決めつける必要はありません。

必要なのは、

  • なぜ持分がないのか(相続?昔から?)
  • 再建築に問題はあるのか(役所調査)
  • 通行・建築に支障があるかどうか(承諾・実績)

を整理し、買主に対して丁寧に“伝えられる状態”にすることです。


「持分がないって言われたけど、よくわからないまま…」
「本当に売れるのか不安」
そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。

私たちは、こうした“ちょっと複雑な事情を抱えた物件”のご相談にも丁寧に向き合い、売却までの道筋を一緒に整理します。

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